栗駒山 食わず嫌いを反省
先日今シーズンの山行方針というか、所信を述べましたが、遠くの山より近くの山、身近な山を見直していこうということで、県内にあるにもかかわらず一度も登ったことが無かった『栗駒山』に本日、初めて登ってきました。
何故登ったことが無かったのか?
もともと高校生時代に山岳部員だったのですが、進学に伴い山中間と離れたため引退し、それから社会人になってから山を再開したのは『北アルプス・穂高岳』に登ってみたくなったのが理由でした。
そんなわけで普段の東北での登山もアルプスの予行練習といった塩梅になり、標高が高いか、ハードな縦走が出来るかが登るかどうかの基準になってしまいました。そんなわけで、アクセスがよく登りやすい『栗駒山』は登山と言うよりはハイキングコースのようなイメージがあり、敬遠していたのです。
そして頸椎症を患ったり(治りましたが)、再び山中間も居なくなり、色々無理が利かなくなった今、もはや敬遠する理由は無くなりました。
栗駒山概要
栗駒山は岩手県・山形県・宮城県の境に位置し、標高1,626mの火山です。二百名山の一つ。
登山コースは沢山あり、1.5Hくらいの気軽なコースから、5H以上かかる長大なコースまで選択可能です。
私は今回、岩手県側から登る須川温泉口から登ることにしました。宮城県民が何故岩手から登るのか?単純に温泉が魅力だったのと、後ほど書きますが、祭畤大橋を見てみたかったのです。
およそ3.5H程度(登り2H、下り1.5H)でお手軽なコースで、鎖場など危険な箇所は一切ありません。今回は『花と温泉』がメインです。
須川温泉より入山
一関ICより須川温泉へ。温泉が入り口だとナビの設定が楽です。広い無料駐車場があり、帰りに温泉に入ってくることが出来るので、登山コースとしては完璧な構成です。9:00前に到着し、すぐに登り始めます。
山岳部時代の習慣で、6時台に登るのを鉄則としていたのですが、今回は緩く行きます。
注意点はトイレ。必ず登山口で済ませてください。登って下山するまで今のところトイレがありません。
登山口は温泉の源泉でした。硫黄のにおいの中を出発。
天気は快晴!
天気予報は『晴れ』。全く雨の心配はいらないのですが、宮城で気温が30度というのが気になりました。とはいえ、程良くそよ風が吹き、暑苦しさはありません。
登り口がちょうど空に登っていくようで、気持ちの良い登山道です。しかもしっかり整備されており、それが山頂まで維持されていました。
木漏れ日が気持ちよく、蒸し暑さもありません。
栗駒山で画像検索するとよく見られる湿原からの風景です。
お花畑と言うにはまだ早いかな…?とはいえ、イワカガミが綺麗でした。今回花を撮るためにXF55-200mmと500Dを持って行ったのですが、ここで装着してしまうと風景がおろそかになってしまいます。どうするか…?
結局登りは風景、下りは花と決めました。この記事も登りは風景でお送り致します!
火山のためか、草木に覆われていない岩肌は荒々しいですね。岩手山もこんな感じでした。
ゼッタ沢から昭和湖まで
湿原を抜けると、徐々に硫黄臭(硫黄は無臭なので正確には硫化水素のにおいですね)がしてきます。
ゼッタ沢は温泉がそのまま流れているようなもの。
沢に下りて窪地に頭を突っ込めば、おそらく自殺できてしまいます。
青空が眩しく、くしゃみをするのですが、硫黄臭がきつすぎてちょっと息苦しさがありました。この匂い、好き嫌いが分かれますが、私はそんなに好きではありません。
植生のためか、初夏なのに紅葉シーズンのような風景でした。
枯れている木は硫化水素のせいでしょうか?
昭和湖
昭和湖までは『ハイキングコース』です。一部ゼッタ沢を越える徒渉点がありますが、恐怖感は感じません。登りも緩く、昭和湖までは誰でも来られるでしょう。
休憩するほど疲れていませんが、昭和湖を写真に収めるため小休止。パノラマで撮ってみました。鳥海山の鳥海湖ほど大きくは無く、スケール感はそれほどでも無いのですが、温泉で濁った色合いが幻想的な感じを出しています。
ここにはトイレがありましたが、現在閉鎖中。
昭和湖から天狗平まで
昭和湖から急に傾斜がきつくなり、これぞ登山といった登りになります。しかし、道がしっかり整備されているので、さほど疲労感はありませんでした。ストックを持って行ったのですが、撮影に邪魔なのでしまってしまったほど。道が良いので最初から持って行かないのも良いかもしれません。
雪渓がありますが、それほど長くも無く、アイゼンはいりませんでした。
雪渓を超えると急に景色が開け、そこが天狗平です。
もうすぐ山頂です!
天狗平から山頂
稜線上を山頂に向かいます。タカネザクラが咲いていました。タイミングが良ければ一斉に咲いており、お花見気分が味わえるとか。今回はすこし遅かったようです。
天狗平から山頂までは歩きやすい稜線であっという間でした。
山頂から登山道を見下ろします。
山頂でいつもの通りカレーヌードルを食べ、名残惜しいのですが下山です。別コースを回ろうか迷いましたが、花を撮りたいので同じルートを下りることにしました。
見晴らしの良い山頂に登ったらまずやること。それは他の山を探すこと。
愛用のiPhoneアプリ『PeakFinder』を使うと、簡単に現在位置から見えるピークを探せます。
PeakFinder Earth
カテゴリ: 旅行
価格: ¥480
鳥海山を探してみました。季節柄空気中に水分が多く、遠景は肉眼ではよく見えませんでしたが、PeakFinderで簡単に見つけることが出来ました。
鳥海山はさすがに雪が多く、山肌より雪野輝きが目立っていました。
下山:花を撮る
下山路ではレンズをXF18-55mmに換えてXF55-200mm+500Dで花モード。
エクステンションチューブも最近試したのですが、まだどちらが良いかは決めかねています。山でレンズ交換は最小限にしたいので、このままクローズアップレンズを使い続けるかもしれません。
タカネザクラをクローズアップ。
ツツジはどこにでも咲いていますね。
ヒナザクラは沢山咲いていました。
風よけになりそうな大きな岩陰にコメバツガザクラが咲いていました。小さくて見落としそうなのですが、近寄ってみると個性的な形をしています。昔のおしゃれなガス灯のような、そんな感じです。
撮るのは難しく、小さすぎてうまくピントが合わず、帰ってから見てみたら、ほとんどピンぼけでした。コンデジのほうがうまく撮れたかもしれません。
一輪咲きのミツバオウレン。この花はまっすぐ堂々と咲いており、小ぶりな白い花なのに存在感があります。名前もかっこいいですよね。好きな花です。
イワカガミはあちこちに群生していました。なんとなく、祭りで見かける小さな女の子の浴衣(特に帯)っぽい感じです。ねぷたで言ったら金魚ねぷたですが、青森県民にしか伝わらなそうな例えですみません。
下向きの花を撮ろうと登山道に寝そべっていたら『大丈夫ですか』と心配されてしまいました。人が居ないのを確認していたのですが、夢中になっているうちに時間が結構経っていたのでした。結局したから見上げる写真はうまく撮れず。
イワイチョウ。花だけ見るとミツバオウレンに似ていますが、花がギザギザで実際に見た印象は違います。
湿原にはイワカガミとタテヤマリンドウが一緒に咲いていました。一緒の姿を取りたかったのですが、花も小さいですし、500Dではピントがいかんともしません。三脚をセットして、思い切り絞りたいと思いましたが風もあるし、三脚をもってきたとしても花が揺れて駄目でしょうね。
耳かきの綿の長いやつみたいなこれは『ワタスゲ』です。まさに『風に揺れる耳かき』です。群生していると存在感がありました。
湿原を抜け、また森に戻ると木陰にショウジョウバカマが。まだつぼみです。つまり、これから夏にかけても花で楽しめると言うことですね!
無事下山、そして温泉。
温泉はまさに登山口の須川温泉へ。汗をしっかり流したいので、体を洗える内湯にしました。料金は600円。さらりとした濁り湯で、癖も無く、入っていて辛くない、良いお湯でした。山行の疲れを癒やすには最適だと思います。
売店でソフトクリームを頂き、帰ります。
全般的な感想として、『なぜもっと早く登らなかったんだろう?』と思えるほど、よい山でした。景色良し、道よし、温泉良し。根拠の無い自己ルールに縛られ、食わず嫌いでこんな身近な素晴らしい山を自ら避けていたのは大失敗でした。
また登ってみたいと思います!
おまけ 祭畤(まつるべ)大橋
一関から須川温泉までの途中にも沢山温泉があるのですが、その一つ祭畤まつるべ)温泉がある集落に『祭畤大橋』という橋が架かっています(いました)。この橋は2008年の岩手宮城内陸地震で崩落し、その後掛け替えられました。
自身当時、私は南蔵王を縦走中だったのですが、知人が栗駒山に登っていたそうで、橋が崩落したので帰ることが出来ず、ヘリで下山したとか。車をしばらく取りに戻れず大変だったようです。
崩落した旧祭畤大橋は、災害記録として残されています。
橋のたもとまで行くことが出来るのですが、地滑りした跡が残っており、被害の大きさを感じられます。
旧祭畤大橋の見学用歩道にいたカナヘビ。
近づいても逃げないので、もっと寄って撮ろうとしたら、隙間に逃げてしまいました。しかし尻尾は出っぱなしであり、まさに頭隠して尻(しっぽ)隠さず状態。
最初から最後まで、いい山行というか旅?が出来たと思います。