白神山地のブナの森: アウトドアは自己責任
青森の実家に帰省した折りに、久しぶりに『暗門の滝』へ行ってみました。 暗門の滝は白神山地の青森県側、西目屋村にあり、津軽平野を流れる岩木川の支流の一つです。
古くは『幻の滝』と言われ、経験を積んだ登山家が沢登りで目指したり、現地を知り尽くしたマタギでなくては到達できないような秘境でした。年々歩道が整備され、私が子供の頃にはの遠足で出かけられるレベルとなり、さらに近年はスニーカーの観光客が到達できる状況した。
滝は三段あり、上の方まで岩を登って行くことが出来ます。写真は2005年頃のもの。最近見に行っていないので、気軽に写真でも撮りに行ってみようと出かけたのですが、思いもよらぬ結果となりました…。
白神山地のブナの森
ブナの森はやはり緑が濃い時期が好きです。もちろん紅葉の時期も良いのですが、なんといっても緑が美しい。
木の葉越しに空を見上げます。平地はうだるような暑さですが、森の中はひんやり涼しく、太陽の光も優しい感じ。
歩いているだけで体が浄化されるようでした。
水場。冷たくて美味しい白神の美味しい水が飲み放題です。歩いた後汗をかいた体に染み渡ります。
水場付近の沢が綺麗だったので、スローシャッターで撮影してみました。
メインの滝は立ち入り禁止!
さて、これから滝に向かおう、と思ったら、なんと一般観光客は立ち入り禁止でした。そういえば入り口に看板が立っていましたが、よく読んでいなかったため、登ってから気付いたのでした。
そういえば、森の中にあった案内看板でも『滝』の部分がテープを貼って隠しており、不思議に思っていたのですが、そもそも立ち入り禁止だったのですね。
立ち入り禁止とは言え、『一般観光客』限定の制限で、装備と経験のある上級者は行っても良いらしい。
普通に掛かっていた橋も簡単に侵入できないように、橋桁と枠だけ残してわたれないようにしている徹底ぶり。それでも行く人は自己責任でいってくださいと言うスタンスです。
私は登山装備で現地に行ったので、行こうと思えば行けましたが、現地到着が昼過ぎだったので、結局先に進むのは自粛してしまいました。
地元の人に聞いたところ、ちょっと前に落石で観光客が怪我をし訴訟となり、その後2度目の落石事故も発生、結果として一般観光客立ち入り禁止となってしまったとのこと。
悔し紛れに川の真ん中に三脚を立てて撮影してみました。岩木川支流、暗門川。
昔は自己責任当たり前の場所
私が子供の頃の暗門の滝はあまり観光地化されておらず、河原にテントを張ってキャンプしたり、川で箱眼鏡とヤス(銛)でカジカを捕ったり、毎年行くのが楽しみな場所でした。来るのは地元民か山好き・釣り好きの人くらい。暗門の滝も物好きが行くような場所で、川を渡る箇所があったり、足を滑らせたら死ぬような箇所があっても、柵もありませんし、落石注意の看板すらありませんでした。
最近は白神山地が世界遺産となり、ビジターセンターまで出来て、観光客が気軽に入り口まで到達するようになってしまい、サンダル履きの人がウロウロしていたりして、いつ事故が起きてもおかしくない状況だったようです。
実際、立ち入り禁止で橋が封鎖されている箇所に、100kg以上あるであろう外国人の団体がサンダル履きでいたのを目撃し、もし立ち入り制限がなければ、この人たちが上まで行ってしまって事故を起こし、訴訟になるであろうことを考えると、『閉鎖やむなし』と納得してしまいました。
村としては滝までの道は貴重な観光資源。正直暗門の滝がメインのビジターセンターですが、滝に行けないとなると存在価値も危ぶまれます。お客さんに来てもらうため、アクセスをよくしたり、整備したりすることはビジネスでは自然な流れなのですが、自然を舐めきった観光客も来てしまう。そんなお客さんも相手にするとなると、相当整備費用が掛かるでしょうし、『自然』を観光資源にするのは色々難しいのですね。