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頸椎症性神経根症闘病のまとめ 発症から(ほぼ)完治まで

頸椎症性神経根症についてこんな場末のBlogまで来ていただける方が意外と多いので、便利なように、まとめてみたいと思います。 腕や指に痺れを伴う、長引く肩や背中の痛みに悩んでいたら、参考にしてください。

1. 経過:私の症状、発症から完治までダイジェスト

私の症状についてまとめると、以下の通りです。

  • 概ねほぼ完治といえるまで、発症からおよそ半年かかった。
  • 右腕・右肩に症状が集中
  • 当初は50肩など他の病気を疑う
  • 整形外科では最後まで頸椎症性神経根症の診断無し、脳神経外科で頸椎症性神経根症の診断を得た

時系列で示すと、

  • 14年6月 腕立て伏せ後背中を痛め、その後延々と治ること無く違和感が残る
  • 14年9月 右腕に痺れが発症、しばらく痺れのみ、痛み無し。
  • 14年10月 酷い末端の冷えと右肩に痛みを発症し、整形外科へ。慢性疼痛と診断。自分では50肩であろうと判断。
  • 14年12月 いつまでも治らず、一日中痛く、処方されている痛み止めが足りない。自分で調べてみると、頸椎症性神経根症が一番症状が近い。専門の病院(脳神経外科)にコンタクトを取り、診断を受けたら間違いなく『頸椎症性神経根症』と判断される。手術するほどで話し、痛み止めでの治療を継続といわれる。結局治療は痛み止めでしのぐしかないが、適切な診断と手術するほどでないという元凶がわかっただけで、随分と精神的安定を得る。
  • 15年4月 ほぼ薬から離れる。その後ちょっとした動作で痛みが再発することがあるも、すぐに快方に向かうようになる。(ほぼ完治、病院に行かなくても済む)
  • 15年7月 日帰り登山をしても大丈夫!
  • 15年9月 北アルプステント泊縦走をしても大丈夫!

以上のように、治療に半年、治療中は当初適切な診断すら無く、やるべきこと・やっていけないことのアドバイスも無く、自分で情報を探しながら右往左往していました。おそらく同じような状況の方も多いのでは?

異なる原因で似た症状の病気が多い

症状が出始めた当初、五十肩だと思い込んでいました。

当時の私の記事です。↓

五十肩を甘く見ていました - 人力移動Blog

14年6月に筋トレ中、腕立て伏せ後に背中の痛みを感じ、その後延々と治ること無く違和感が残る中、14年9月頃突然腕に痺れを感じました。ジーンとする痺れが右腕に走り、痛みはないものの、症状が出たり消えたりで治りません。その後登山中、異常な疲れが出たり、長時間歩いて顔は真っ赤に火照っているのに、手足の指先だけ真っ白で冷え性のようになったりと、不安な症状が出てきました。

そして運命の10月初旬、とても右肩が痛くなり、腕を動かすことができない状態となり、慌てて整形外科に通ったのでした。このとき診断されたのは、慢性疼痛症。ようするに何かわからないが慢性的に痛むということです。医師は頸椎の神経がどこかに触れていることを疑い、結果としてそれは正しいのですが、レントゲンのみの診断で、MRIを使用していないので、ハッキリとした原因を示してくれず、頸椎症性神経根症という病名はその後一度もその医師の口からは出てきませんでした。

結局その後、半年にわたって痛みと戦い続けるのですが、その際本当の病名はこれかも、と疑ったのだけでもこれだけあります。特に亜脱臼は、当初腕立て伏せ後の痛みがあったので、強く疑いました。

  • 五十肩

わかりやすい 五十肩・肩の痛み|東北大学整形外科学教室

  • 亜脱臼

【亜脱臼.com】〜亜脱臼の症状と治療や脱臼との違い〜

痛みは共感してもらえない

病院で処方されたのはロキソニンと胃薬だけ。薬を飲んでもちょっと痛みが抑えられるだけで、数時間後には痛くてまた飲んでしまい、薬が足りません。夜に痛みで目がさめることも多く、少しでも痛くない体勢を探したり、腕を天井から吊ってみたり、いろいろやるのですが、効果がありません。結局薬で痛みを抑えるしか無く、医師に飲みすぎだと怒られるのですが、それでも飲んでしまいます。痛いものはどうしようも無く、痛くて痛くて仕事中も肩を押さえてうずくまってしまうほど。正直なところ、私はデスクワークなのでなんとかなりましたが、体を動かす現場仕事なら、休職や退職の心配もあったかもしれません。

病院の待合室で、今回も薬の事で怒られるかとうんざりしながら待っていると、医師が他の患者に諭していた一言が心に突き刺さりました。

『痛みは共感する方法がないのです。あなたがどんなに痛くても、それは医師の私でも感じることはできません。したがって、その痛みが本当であるかも証明できないのです。』

患者は医師に交通事故の診断書を依頼していたようですが、患者が本当に痛いかどうかは科学的に証明できないので、望むままに診断書を書くわけにはいかない。確かにその通りで、私が職場で痛みに耐えていても、概ね同僚は同情的ではあるものの、さほど深刻には捉えてくれません。デスクワークだから良いとはいえ、現場仕事なら足手まとい扱いでしょう。ましてやいつ治るかもわからないのですから…

無駄な努力で悪化

発症からしばらく、14年10月〜11月は右往左往しました。

  • 五十肩だと思い、整体に行き結局全く改善せず悪化。
  • 整体に近いことをしてくれる別の整形外科に行き悪化。

そのほか、無駄な買い物もしました。当時は藁にもすがる思いで買ったものですが、今思えば必要なかったものです。

神経が過敏になり、寝ている時にTシャツのタグが当たるだけで痛く、上半身裸で寝たり、マットレスのコイルが痛く、通販でトゥルースリーパーを買ったりしました。これは完治した今では無用(おまけで付いてきた低反発枕は今でもお気に入りですが)で、タグも気にならないし、マットレスのコイルも気になりません。たんに、神経の炎症で反応が過敏になっていたと思われます。

その他寝ている時に隣家の窓の光が気になって眠れなくなり、遮光カーテンを買ったりしましたが、今はそれほど光が気になりません。もしかしたら、この光害も頸椎症性神経根症の一環で、神経過敏になっていたのかもしれません。

カーテンを取り替えた当時の記事↓

光害と遮光カーテン - 人力移動Blog

適切な判断一つで楽になる

痛くてどうしようも無く、いつ治るともしれず、痛みと絶望感で鬱屈した日々を過ごしていましたが、14年12月、本格的な発症から2ヶ月で、ネットの情報で、ヘルニアの一種、頸椎症性神経根症が私の症状に近いことに気づきました。

当時の記事↓

頚椎椎間板ヘルニア??? - 人力移動Blog

頸椎症性神経根症で情報を集めると、症状がすべて当てはまり、これしかないと思えるようになりました。2ちゃんねるの該当スレッド(2ちゃんねる→心と身体→身体・健康→ 【首】頸椎椎間板ヘルニア Partxx【首】 xxは番号)を見ても、私と同じ症状の人が多くいます。注意が必要なのが、同じ身体・健康板にある【四十肩】 肩関節周囲炎 Partxx 【五十肩】というスレッド内の症状も、私の症状とよく似ていたことです。慢性的に痛みや痺れを感じ、五十肩だと思っている人も、実は頸椎症なのかもしれません。

頸椎症性神経根症については以下を参照してください。手の痺れ、肩の痛みなど症状についてと、手術で治すか、保存治療を続けるか、いろいろ選択肢があることがわかります。

「頚椎症性神経根症」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる

最終的に私が助けを求めた病院は、『総合南東北病院』です。理由は以下のとおりです。

www.minamitohoku.jp

  • 学会のページから辿れる:実績があること
  • MRIなど設備が完備されていること
  • 根本治療である低侵襲脊髄手術の専門部署があり、手足の痛みや痺れなど症状について明記されていること
  • 低侵襲脊髄手術センターサイトに悩み相談窓口があり、WEB上で相談できたこと

Web上で症状と経過について相談したところ、専門医の肩から頸椎症性性神経根症が疑わしい、検査を予約してみてくださいと返事をいただき、藁にもすがる思いで診察を受けました。(総合南東北病院TOP→低侵襲脊髄手術センターサイトに悩み相談メール窓口あり)

病院に電話して、予約の上診断を受けましたが自己負担1万円以内でMRIでシッカリした検査を受け、脳神経外科の専門医から『頸椎症性神経根症で間違いない』、『手術よりは保存治療をお勧めする』との診断をいただきました。結局痛み止めでの保存治療は変わらないのですが、概ね3ヶ月程度様子を見るとよい、手術するほどひどくはないというわかりやすい診断を得ただけでも、鬱屈した精神状態が晴れました。

さらに、やってはいけないこととして、『上を見上げる動作を控えるべき』、『飛び跳ねるなど振動を与えるのは治るまで控えるべき』とのアドバイスを得ました。このようなアドバイスは整形外科では得られませんでした。上を見上げる動作では、頸椎の該当箇所を圧迫し、症状を悪化させるそうです。土木建築の現場監督など、見上げる動作が長時間に及ぶ人に頸椎症性神経根症が多いのも頷けます。飛び跳ねる動作がよくないのも同じで、振動で該当箇所が圧迫されるそうです。

かるいジョギングなど、頸椎を圧迫させない範囲の運動はしても良いということで、その日から少しずつ動くようになり、これも快方へ向かう上で大きな勇気を得られました。

その後、痛み止めでの治療を継続し、無事快方に向かいました。もちろん痛みに悩む日もありましたが、目処がついただけで随分と耐えられます。なにより、いざとなったら手術という方法もあり、なんとかなると思えるだけで全く状況が変わってくるものです。まずは最寄りで相談すべき病院を探してください。探す基準は以下を参照。

2. 頸椎症性神経根症:適切な病院

  • 頸椎症性神経根症の専門は、基本的に『脳神経外科
  • MRIによる診断を受けられる病院を探す

神経・脊髄・頸椎関係は、脳神経外科が専門です。肩の痛みなどから、概ね整形外科に行きがちですが、整形外科では基本的に神経関係には関与しません。整形外科でも対応してくれることはありますが、病院のホームページで医師の専門分野や参加学会に『神経』『頸椎』『脊髄』のどれかの単語があることを確認してください。ペインクリニックは微妙なところで、整形外科と同レベルなことが多いと思います。整形外科に比べて、痛み止めの種類やブロック注射、牽引など、多彩な痛み止をなどの対処をしてくれる可能性はあります。

頸椎症性神経根症はMRIでないと見つけられません。レントゲンでは診断がつかないので、まずはMRIの診断を受けましょう。概ねどの病院でもMRIの自己負担額は1万円前後です。

3. やってはいけないこと、控えること

  • 上を見上げる動作
  • 飛び跳ねるなど振動を与える

頸椎を圧迫します。私は当初五十肩だと思い、それ用の対処としてストレッチなどをしたり、整体を受けたりしたのですが、その際に首を見上げる動作をたくさんしてしまい、結果的に悪化させていたようでした。整形外科医のアドバイスですらそうなのですから、医師といえど適切な診療科のアドバイスでなくては悪化させることもあるのです。

4. 効果のあるモノ、無いモノ:無駄遣い現金!

効果があったのは脳神経外科の適切な診断と、ロキソニン、頸椎をサポートする枕くらいでしょうか。

枕はこんな形の低反発が良かったです。

値段は安いものでもよく、タオルで自作する方法もあるようです。頸椎をサポートする形状であれば概ね良いようです。

反対に効果が無かったものはいくらでも挙げられます。

市販薬はまず、効きません。整体も専門医の指導のもとでなければ意味がありません。まずは脳神経外科でちゃんと現状を確認しましょう。いろいろ試すのは、それからで十分です。痛みやストレスから逃れたい一心で、あるいは自分に甘くなって余計なものを買うなど、お金を遣いがちになりますが、ぐっと抑えて無駄遣いを控えましょう。脅すようですが、経過によっては入院・手術をしたり、症状の重さや仕事内容によっては、仕事を辞めざるをえなくなる可能性もあるのですから、無駄に遣えるお金など無いのです。私は頸椎を守るため、と理由をつけてアーロンチェアを買ったり、山へしばらく行けないとAV機器を買い込んだりしましたが、正直反省しています。(アーロンチェア自体は気に入っていますが)

5. 再発について

再発の可能性は低くは無いようです。右肩に出た症状が、半年から1年後に左肩に出るなど珍しくは無いようです。私は4月ごろ完治の判断をしましたが、その後ちょっとした動作で2・3日痛みが出ることがありました。とはいえ、上を向く動作を控えるなど、頸椎に負担をかけないようにし、適度な運動をすることで、現在では深刻な再発もなく、山も登れています。今のところですが、再発を恐れすぎないよう、適度に運動、健康的な生活を送っていればなんとかなる、という自信があります。

6. 薬について

いろいろ処方されましたが、私に効果があったのはロキソニンだけでした。ロキソニン、リリカ、トラムセットなど処方されましたが、効いている実感があったのはロキソニンだけです。リリカとトラムセットは医療費が高くなっただけのように思います。

薬についての経過の記事↓

薬がまたひとつ減りました。 - 人力移動Blog

どの薬が効いているかは、医師に訴えてこまめに変えてみる必要があります。私にはロキソニンが聞きましたが、リリカしか効かない人もいるようです。要するに個人差があるということです。

その他

何かご質問があったらコメントをいただければ答えられる範囲で答えます。とはいえ、私に聞くよりは上記の病院のように、医師に相談するのが一番です。最寄りのMRIのある脳神経外科を受診してみましょう!