人力移動Blog

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頂点を極めればあとは惰性となる

なんでもそうですが、頂点を極めてしまうと、あとは何事も減点法で見てしまい、何をしてもつまらないとはよく聞く話です。

たとえば私にとってお花見といえば実家に近い『弘前城さくら祭り』で、それを基準にすると全国各地、どこのお花見も感動を得られなくなってしまいます。

同じように、イタリアやトルコなど地中海の遺跡を見て回った人は、日本の博物館や観光地に行っても、しょぼくて感動出来なくなってしまうとか。

今日また新たに一つの頂点を極めた事実を認識してしまいました。

ホタルの光

今日は会社を定時で上がり、ホタルを見に行きました。せっかく一眼レフカメラが手元にあるので、撮影してみたいというのもあります。

ネットで最寄りのホタルで有名そうな場所を見つけ、『ホタル祭り』を毎年開催しているところなので、期待して出かけました。

場所はお寺の近くで、ホタルの幼虫を放流して管理されているということで、期待していたのですが、川を見るとさほど清流でもなく、なんとなく日中に観光できたなら一枚も写真を撮らないであろう雰囲気でした。そのうえお墓も近く、お寺の駐車場には私一人でやや心細い感じです。狙いはホタルなので、景色は置いておき、日没を待ちました。

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日が暮れはじめると、他にもお孫さんを連れてきたおじいさんや、老夫婦など多彩な見物人が徐々に集まってきました。やはりここは有名だったのだな、と期待していたのですが、本格的に暗くなってくると公園のライトがつき、明るく照らされてしまい、長時間露光には向かない状況で、写真はほぼ取れずじまいでした。

しょうがないので見るだけは見ていこうと歩き回ったのですが、ぱやぱやと数匹飛んでいるだけで、これといった感動はありません。『確かに飛んでるね、それで?』こんな印象です。

茂みに分け入り、なんとか写真は撮りましたが、軌跡が一つ撮れただけでした。

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私の中での『ホタルの常識』

わたしが初めて見たホタルは、小学校に入学した年の夏、学校の校庭で催されたキャンプイベント(校庭にテントを張って、いろいろする)の夜でした。記憶が定かではないですが、高学年は校庭にテントを張ってキャンプファイヤーを囲み、一泊します。低学年は夜になったら保護者と一緒に帰ります。田舎の小学校ならではでしょう。ちなみにその小学校は廃校となり、今はもうありません。その学校からの帰り道、母に手を引かれて夜の田んぼのあぜ道を歩いていると、まっすぐなあぜ道の草むらが蛍の光でぼうっと浮かび上がり、夜の飛行場の滑走路のようでした。かぶっていた野球帽(メッシュ状の夏用帽子)ですくうと、帽子の中が蛍の光でいっぱいになり、その帽子をそのままかぶると、頭が光ってロボットみたいだと笑いながら歩いたのを覚えています。

次にホタルを見たのは、大学時代に友人たちと出かけた、小野川温泉のホタル祭りです。もともとホタル祭りを知らずに温泉でも行こうと出かけたのですが、やたら車が多く何事かと思っていたら、温泉街にホタルの扮装(よくわからないと思いますが、着ぐるみのような感じです)をした人が歩いており、なにやらホタルにちなんだ祭りのようだと知ったのでした。せっかくだから見ていくかとさほど期待もせず会場に行ってみると、本当に一面ホタルが飛び交い、光の中を歩いているようでした。 ムサい男4人組で出かけていたのではなく、彼女とデートだったら、さぞやいい雰囲気だったでしょう。

減点法で見てしまう

こんなふうに、わたしにとってホタルといえば一面飛び交って幻想的な雰囲気を醸し出しているものです。その記憶があるゆえに、目の前のホタルはとてもがっかりでした。わたしのがっかりぶりとは対照的に、他の家族連れの子供達は、『あ、飛んでる!』と喜んで見ていました。たぶん、次に他のところでホタルを見ても、感動できるだろうと思うとちょっと羨ましかったりします。

ホタルの撮影はまだできるようですが、これだと小野川温泉辺りまで出かけないと満足できないようです。贅沢に慣れた人は生活レベルもインフレ気味になるといいますが、今回のホタルも一種の文化的なインフレかもしれません。